末期がんでホスピスに入った先輩から連絡が入った。
「金持ちのゴルフ仲間がさ、
名医を紹介するから治療しようって。
家族がその気になって、盛り上って。どう思う?」

末期がんまで行くと、
「原発がどこか?転移はどこまでか?」調べ無いのが普通。
しかし家族には、医師への不信感になりやすい。
その矢先に、友人が良かれと希望的提案。
家族が浮足たつのは当然だ。

再訪した私、できるだけ淡々と話した。
「感情揺れるな、揺れるな」と。
「最近の免疫療法・分子標的薬、
末期がんが劇的に治る例、いくつも見ました。
必要なら、実績の高い名医の、
セカンドオピニオン手配はできる。

ただし、
その
成功確率は1%以下
むしろ副作用で死期が早まり、
辛い最期を迎える可能性は数十倍。


だから多くの医者は勧めない。
協力的な医師が見つかるまで、
何度も何度もセカンドオピニオンを受け、
毎回毎回、絶望的な話を聞かされ続ける。

その覚悟はありますか?」

冷酷。
こんなコトしか言えないの?
こんなために勉強してきたの?
自分が恥ずかしい、情けない。

先輩、少し黙って
「ちゃんと言ってくれて、ありがとう。
客観的に言ってくれて、ありがとう」
声は震えていた。
何度もありがとうと。

3日後、家族のいる時間に再訪。
セカンドオピニオンに前向きな家族、
期待に目を輝かせ私を見る。

「もう体力が無いからなぁ」
先輩がポロっと口にするホンネ。
周囲のために作ってきた笑顔が剥がれる。
「だから治療への希望が辛かったのか。
治療できる体力、残ってないのを知ってたんだ」
セカンドオピニオンの話を区切った私。
希望的観測は終わった。

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