末期がんの先輩が、亡くなった。
しばらくは、何も感じない私がいた。
葬儀の焼香。
親族に続く友人の列に、内縁の妻:彼女がいた。
友人は早々に退席する流れ。
親族のみで儀式は続く。
最後の10日間を一緒に寝泊まりし
一切を仕切ってくれ、
献身的な介護をしてくれた彼女。
「家族の一員」と言われ、
結婚の話もしていた。
それでも彼女は、血縁ではない。
誤解が無いよう言えば、
彼女に「家族の一員」と言ったのは、
故人の近親(実子・兄弟)。
彼らは今も、彼女を受け入れている。
だが葬儀には、
彼女が知らない遠縁も集まり盛り上がる。
30年ぶりでも切れない、
この国の「血」という流れ。
どれだけ尽くしても、
どんな約束があっても、
内縁は他人だ。
血縁の輪には入れない。
彼女は薄く笑った
「『火葬に来ませんか?』って
言ってもらえたので、行こうかと」
私は喉元で言葉を止めた。
「『言ってもらえた』じゃないでしょ?
先輩が最後まで一緒にいたいのは、あなたでしょ?」
言えなかった。
他人の家のコトだから?
私が大人だから?
LGBTだから?
2月の風の中、
社交辞令より少し深くお辞儀して別れた。
