末期がんの先輩を尋ねる。
窓の外は冬空の寒さ、ホスピスの中には日差しだけが届く。
毎日が小春日和、嘘の穏やかさ。

今日の目的は2つ。
・死亡保険の受取人
・介護保険の説明

死亡保険受取人は、すべて1人娘。
先輩には内縁の妻がいる。
二親等以外でも受取人に設定できる生命保険会社もある。※1
内縁、LGBTでも受取れる
ということだ。
先輩の保険会社も受取可能だった。
内縁・LGBTパートナーに金銭を遺す時、
現金より保険相続の方が支払う税金※2で有利になる旨を説明。

私の言葉が言い淀んだ。
「あと1年半で満期返戻金、こんなに増えます」※3
「1年半でそんなに儲かるのか」と、
一瞬顔を明るくしたが、今度は先輩が言い淀んだ。
残り時間を突きつけた私。
その瞬間から先輩の話が、余命3ヶ月前提になった。
(良かったね、俺。やっと先輩が理解してくれたよ)
私を私が蔑む。

続いて介護※4の話。
「最後を自宅で迎えたいなら、介護保険で支援が受けられる。
金額もホスピス費より安い」

(先輩、もうすぐ死ぬんですよ。どう死にたいか、考えてます?)
と同義じゃん。
追い打ちをかける私。これを死神と言う。

先輩は黙って、聞こえないフリ。
私も黙って、話さなかったフリ。
加湿器の音が部屋に響く。

(※1〜4は次回解説します)

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